実家の片付けの際に苦労した体験のなかで多く聞かれるのが、「捨てることのできない親の気持ちが厄介だったこと」。

ときには腹立たしく感じてしまうこうした親のものに対する価値観を理解できれば、実家の片付けに感じるストレスも軽くできるかもしれません。

知ることで優しくなれるということもあります。

 捨てられない心理

ものは豊かさの象徴

実家片付けを必要とする親世代は貧しい時代に生まれ育った方が多く、

「ものを持つこと」「ものを買うこと」が豊かである、幸せであるという価値観を持っています。

それに、つまらないものや余計なものに見えても、親にとってはその一つ一つが暮らしをよりよくしようと考えて買ったものです。

ですから、「どうせいらないものでしょう」「捨てたら?」とそのものを否定すると、自分を否定されたような気持ちにさえなるのです。

もったいない

また、「もったいない」という気持ちが強いのもこの世代以上。

「いざという時に役立つ」
「そのうち使う」

と、私たちからみればゴミとしか思えないようなものも、もしかしたら使うことがあるかもと思うと手放すことができないのです。

もったいない世代の親と、私たちのような断捨離時代の子世代。

ものを捨てるという行為へのハードルはあまりにも違います。

買った時の値段の価値があると思っている

「これは〇〇円もして、高かったから」
と、時間が経っていても買った時の値段だけの価値が続いている思っている場合は、これまた処分を難しくしています。

 

実家の片付け 親の気持ち

気力・体力・判断力・記憶力の衰え

何もかも面倒になる

年を重ねて老いが進むと片付けるどころか、元あったところにものを戻す、ということさえ億劫になってきます

立ち上がってまた戻す、ということをするのが面倒なのでつい家具の隙間に突っ込んだり、全く関係のない近くの引き出しに入れたりするので、次に使うときどこにあるのかわからなくなってしまいます。

よく使うものだからあとでわかるように、ということが考えられなくなってしまいます。

見つからないと買い足す

そして、またそれを使うときに見つからないので、探すくらいなら買ってしまえとなり、またものが増えていきます。

また、トイレットペーパーやティッシュペーパーを大量に買い込んでいる方もよくいらっしゃいます。

これは、「なくなった時また買い物にいくのが大変だから」という気持ちからつい多く買ってしまうようです。

通信販売の普及

テレビショピング、通販カタログ、新聞・雑誌の通販広告・・今はそうした便利そうで、生活をしやすくしてくれそうな商品の誘惑に溢れており、しかもそれが家にいながらにして手に入ります。

日々衰えていく体を実感するうち、しぜんとそうした便利なものを求めてしまうのは仕方ないことかもしれません。

 

実家の片付け 親の気持ち

捨てるという判断ができなくなる

判断力の低下も一因です。

ものを処分するということは、意外とエネルギーを使う判断です。

年をとってくるとこの判断力も弱ってきます。

また配偶者がすべてのことを決めていたという場合だと、配偶者が亡くなった後は自分で決められず捨てられない、という状況になります。

存在自体を忘れている

小さなものならともかく、使っていない布団が何組もあったり、こたつがいくつも出てきたりすると「どうして!?」と思いますが、こうした場合は親はこれらの存在を忘れていることがほとんどです。

まだ使えるから誰かにあげようか、とか、誰々が結婚するときに布団をあげようか、などと思って取っておくうちにそのことはすっかり忘れてしまい、こうしたものは納戸の奥で眠ってしまうのです。

「捨てられない」認知症の兆候であることも

室内の散乱が認知症の兆候であることがあります。

  • 同じことをなんども聞いてくる
  • 趣味など、好きだったことに興味がなくなった
  • 出かけるのを面倒がる
  • 身なりに構わなくなった
  • ものの名前がでてこない
  • いままでできたことができなくなった(作業、計算など)
  • 日時などがわからなくなる

認知症は、早く気づくことができれば適切なケアで進行を遅らせることができるので、こうした症状が見られる場合は早めに医師に相談しましょう。

子が処分を嫌がる場合も

ものを処分することに親が同意したとしても、子がそれを拒否することもあります。

娘や息子にしてみれば、親にまつわるものを失うことが辛い、という気持ちはよくわかります。

「夫が義母のものを処分させてくれない」
「姉が父のものは絶対に取っておけという」

など、身内で処分に反対する人がいるときは、その気持ちを尊重して取っておくのも、その後の関係を良好に保つためには必要でしょう。

「私たちも捨てるから」

親が今まで住んでいた家から子の家に移って同居をすることになっているときは、子の家のものも処分していることを示すといいでしょう。

「うちに呼んであげるんだから、全部捨ててきてね」ではなく、「一緒にみんなで住もうね」という態度で接したほうが迎えてもらう方は嬉しいはずです。

全ては老いによるもの

親が亡くなっている場合はあなたの決断に口を挟む親はいませんが、生前溜めに溜めた”もの”には
「どうしてこんなになるまで・・」
と思わずため息が出てしまいます。

また、親と一緒に片付けをしていて、ものを溜め込んで来たことや、処分について意見が合わず険悪になってしまうことは非常に、非常によくあること。

あんなに綺麗好きでしっかりしていた親がどうしてこんなふうになってしまったのかと悲しくなってしまいますが、これは別にあなたの親に限ったことではありません。

実家の片付け 親の気持ち

「子が家を継ぐ」という家は減少し、独立した子が遠く離れた土地に住み多忙な毎日を送るようになった現代では、親の老いに気づきにくいものです。

親も、そんな子を気遣いながら自分たちで頑張って生活をしていたのですが、ゆるやかに老いが進むうち、自分たちでも気づかないうちに家の中が変化して行ったのでしょう。

どうしてこんなに頑固なんだろう、と思ったときは
「全ては老いによるもの」
と思うと不思議に気持ちが楽になります。

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